ノア☆ザミ

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恩寵学院─序─

紅桜国歴-2455年
時季は春頃。

人間界、妖魔界など異空間による種族が共存する世界。
人間界唯一の王家、紅桜王家。
赤い髪が特徴の王家。最高権力者。
唯一の王家つったけど一応、他にも王家がいる。でも紅桜の血縁関係がある王家ばかりだから、実質分家、小国とも言えるらしい。

「───一…」

しかも血統重視の一族だから、身分差があっても結婚出来るらしい。
なんなら王位者に限り、妻を二人以上持つことも可能らしい。てか少なくとも二人いないとダメらしい。

「小田桐創一聞いてんの」
「ブッ」
頭に衝撃が走り、目が覚める
「あ…」
「俺の授業内容は、子守唄になってたか」
俺は小田桐創一(おだぎり そういち)。
下級貴族の出で、15歳。
どうやら俺は居眠りしてたらしくジン先生に叩き起こされた。
怒ってるのか呆れてるのか解らない表情のジン先生。
フルネームはジンシル・オルステル・ブローム
黒人で碧瞳。黒めの肌色に映る銀髪。揉み上げ部分は金色に染めてる。
んで緑のリーフのある眼鏡をかけてる。
「スミマセン…仮眠してた…」
「そうか、あとで補習な」
そのまま黒板に戻る先生
「なにやってんだ…お前」
隣から声をかけてきたのは一歳上の幼馴染の孝輔。
ベリーブロンドに蒼眼。
家柄は伯爵家だが、両親とは不仲で殆ど家では顔を合わせてない。
あ、ジン先生は男爵家だつってたな。
俺は軽く唸りながら答える
「う~んなんか気付いてたら寝てた…」
「たく…授業中だぞ…」
今受けてる授業は簡単に言えば…"王家の歴史"。
特に有名なのが『王家の暗躍者』と言う二人組。
片割れは王家と血縁関係がある人物らしく、最初は王家に嫌悪感を抱いてたが、後にすれ違いと誤解だったことが解り和解したらしい。
「……そんな簡単に和解って出来るもんなのかな…」
俺は純粋にそう呟く…
授業終了後。
流石はジン先生。有言実行とはこのこと。
「えぇ~…たったの仮眠程度でぇ~?萎える…」
「授業中に寝てるからだ。さっさとやれ」
「ぶぅ…」
小一時間ほど経ったほどでやっと終わった
「ん…10問中、9問正解。まずまずだな」
「えー…ほぼ正解したんだから褒めてよぉ~…」
「ん…偉い偉い」
ポンポン頭を撫でられる…
「そうだ…小田桐…お前はちゃんと異能を使いこなせてるのか?」
「自室で包丁をメチャクチャ増やしました☆」
「危険だからマイナスな」
「えええぇえ」
そう、ブローム先生の話で出てきた"異能"

実はこの世界では”四大属性”
"初期属性"とも言われるのが火、水、風、地をベースとしている。
無論、産まれつきで決まらない。生きていくうえで習得してく…謂わば”得意属性”である。
更に習得が難しいと言われる”闇と光”も同じく。さらに雷や毒などは”創成属性”と言われる。
そんな中でも、唯一無二とも言われる能力。
通称"異能者"
生まれつきで、開花時期は10歳頃。
属性に関連しない能力を持つ。
例えば、コピーするなどや…時間を操るなど…
異能者の共通点は主に二つある。
一つ"発動には条件がある"、二つ"初期属性しか使えない"など。

そう俺も初期属性しか使えない…。
正直…"異能者"っての一長一短だと思ってる…
確かに異能は特別だ…でも"創成属性"を使えないのは正直しんどい…
「先生~…異能者でも闇と光って持てるの?」
「あくまで”初期属性”だからな。少なくとも不可能じゃないな」
「ほへぇ~」
「お前、風を掴めてるんだから可能性としてはあるぞ」
確かにそうだけど…
「う~ん…需要が無いとやる気になんない…」
「マイペースか…」
…まただ…
「…先生~」
「今度はなんだ」
「最近、変なのが見える…」
「変なの?」
最近って言っても、意識し出したのはって意味になるが…
「…なんだろう…靄って言うんかな…時々なんだけどさ…。人の周りに纏わりついてる…。なんか気持ち悪く感じる…」
「…!わかった。その件はツェンガーに聞いてみる」
「?…うん?」
…なんでそこであのオカマ先生が出るんだ?
まあ、気分悪く感じるってのは保険医の専門か…
俺はとりあえず、補習から解放されて自分の寮に戻った。

あ、うちの学院は寮生学校でもあって、正式入学は9歳からだが、ランク付けし易いように6歳からある程度の学務をする。
そんで、寮は3段階ある。
一次制(9~11)、二次制(12~15)、三次制(16~18)である。
俺はまだ15なので、三次制だな…。

一方、医療室。
大きめに三つ編みにまとめた黒髪と、赤い目。
目尻と口元にほくろのある妖艶な男性は、ブロームの話を聞き口を開く
「ふぅん…それは可能性あるね。それもハッキリ見えてる状態」
「検査をお願いできるか?」
「うんいいよ~…可愛い生徒のお悩みは先生の仕事だもの」
掌をヒラヒラする。


後日
「小田桐~、おいで~」
「……」
「逃げんな」
「うっす」

次の日、お昼ごろになって食堂に行こうとしたら、ツェンガー先生に呼び出された
どうやらブローム先生に話した件に、心当たりがあるからそのことについて話したいらしい
検査もするらしいから、午後の授業は免除させてくれるらしいけど…
「内容が内容だからね…医務室で話そうかしら」
「はーい」
保健室に向かい、ドアを開けようとしたら
「おわっ」
ドンッと人にぶつかった
180以上ある緑色の髪、赤みのある金目…?の人がギロッと睨んできた
「……」
「ご、ごめんね…?」
フイッと無視されて去っていこうとする
よく見ると、頬にガーゼっぽいの付けてたな…
「……」
「ちょっと、アルヴェント…医療セット使うなら一言言いなさいよね?」
アルヴェント…名前かな?
男はさっさと無視して行っちゃった
「……」
「たくっ」
ツェンガー先生は呆れた様子
「…緑色の髪、金目って…」
「あの威圧感でよく見てるね?そう彼は『混血』よ…」
「…混血…って、確か…”妖魔と人間”の間の子を指す言葉…」
且つ、”どちらでもない存在”と蔑称されてるのはなんとなく耳に挟んでたけど…正直言って、なんで拒絶気味なのかが解らない…
まぁどうでもいいけどさ…

医務室に入り、向かい合わせの椅子に座る
「よし、早速結論から言うけど」
「うっす」
「アンタ、『自然の囁き』を持ってる可能性が高いわ」
「…!」

『自然の囁き』
またの名は『神の加護』とも呼ばれる力…。
大昔に存在していた”神霊界”の力だと聞いており、人間のみ選ばれた力である
主な力は『治療・浄化』と言った正に聖属性とも言える。同時に一生涯『邪神化』を背負うことになる

大まかなことは授業で習ったことあるから説明不要だった
「もちろん、あくまで”可能性”だけどね?ただ、アンタ前から『人の周りに靄が見える』って言ってたわね?」
「…うん…最初は眩暈かなんかかなって思ったんだけど…」
「今でもハッキリ見えてるの?」
「…今はそうでもない」
「そう…」
ツェンガー先生は書類に書きながら聞き返す
質問の繰り返しで約三時間。
「よし、これで検査に必要になるものは揃った…」
「眠い」
ぶっちぎりはキツイ
「数日したら、呼ぶから寮に帰っていいわよ」
「はーい」
背伸びをして医療室から出ていく

「…兄は首席で卒業、姉は成績はまずまずだけど、実戦が得意…そして、次男であり末っ子の彼は、異能者な上に『神の加護』の可能性持ち…。小田桐家は下級貴族だけど、優秀さが見え隠れしてるわね…」
はぁとため息をするツェンガー。
「貴族な上に、兄妹が仲良いのは羨ましい…」
寂しげな表情を浮かべる…


続く。


創一。
小田桐 創一(おだぎり そういち)
下級貴族で次男。
15歳。模範の異能者。Cランク。
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孝輔。
小鳥遊 孝輔(たかなし こうすけ)
伯爵家の一人息子。
17歳。Bランク。
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ローム先生。
ジンジル・オルステル・ブローム
歴史を主に担当してる。
爵位は男爵らしいがどんな一族なのか詳しいことは解らない
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ツェンガー先生。
リーベルス・ヴァーク・ツェンガー
21歳。
代々医者の家系(準貴族)。
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アルヴェント。
アルヴェント・シルモニア。
17歳。シルフの混血。
Bランク。
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