ノア☆ザミ

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罪深き血-5

何が起こったのか解らなかった…
コウの顔にひび割れが出てきて叫んだあと、
突然、コウに力の暴走が…いや違う、これは単純な力なんてものじゃない…
「こ、コウ…?」
『っ…迫害した者ども…今ここで殲滅してやる!!!はーはっははは!!!!』
コウの姿はまるで…黒く変化した神格…漆黒の羽の様なもの…頭部に黒い炎…黒き電撃が…
「あれは…邪神化!?」
「まさか、実在するなんて…」
「……」
じゃしんかって?
「邪神化…、それは聖なる力、『自然の囁き』を持つ者が生涯背負い持つリスクだ。力の反動、又は負の感情が蓄積し続けた者がなりやすくなる。無論、このままでは頭部にある『魂』が穢れてしまい人間に戻せなくなる」
王陛下はそう答えた
「…時間制限以内に正気に戻すことも出来るってこと?」
「……とにかく急げ!!」
コウが邪神化…しかも制限時間もある…
僕に出来ることは…、コウを正気に戻すしかないっ…!
でも、僕の力は…毒、仕込み杖…銃…コウを傷付けるモノばかりだ…
だとすると…
『私はもう、誰も許さないっ!!優しくしないっ!!許さないっゆるさない、ユルサナイ!!』
「っ…コウごめん…」
僕はコウに蹴りを入れた
コウを最低限傷付けずに戻すために、僕に出来る唯一の方法だった…
『がっ!?…なにをっ…!?』
「っ…い"!?」
足に激痛が走った…
「なに、これ…痣?」
ただの痣ではない…これは…呪詛?
自分に影がかかった
『お前もか…私を傷付けるモノは…』
痛む足を堪えつつも立ち上がる
「漆子!それ以上近付くなっ!命を落とすぞ!!」
「…だからなに?」
「は?」
 僕は冷静に答える…
 瞳の奥にある虚無と血のような赤…
「僕が漆子だから?そんなのどうでもいい…僕にとって、コウ以上の存在はない…コウは僕を作ってくれた救ってくれた…だからコウの苦しみ、痛みを全て受け止める…喩え、命を落としかねてもね…」
僕はコウに向ける…
「どうせ君らはなにも出来やしない…だったら国が滅ぶの黙ってみてたら?」
莫大な規模と圧倒的な力に立ち尽くす
すると、横に誰かが近付いた…
「…なら、私にとっても紅一は私の子だ…共戦しよう」
対の扇を手にする王陛下だ…
「…アンタは死んじゃうと困るんじゃない?」
「…そんなの周りの都合だ…"私自身"には何の影響もしない…」
「ふぅん…じゃあ、コウを戻すために一時的な協力関係だね」
「防衛は任せた」
邪神化したコウへと一直線に突っ込む
コウは異空間を操り、光線のようなモノで反撃した
「紅雪乃華・煤煙!!」
王陛下が扇を片手に氷を散らし、攻撃力を弱めた
僕はとにかくコウに近付けたが、コウの異空間攻撃が激しくなり難しい…
「っ!」
ジュッと光線が肩に当たる
呪詛の進行が早まるが、僕は再生者だから多少ながら遅れさせられる
『ナンで、なんで!!!!私を、母を、忘れたくせに!!!』
黒い涙を流し、狂い叫ぶ
王陛下は表情を少し歪めた…
すると、
『ぎゃっ!!?』
コウに別の電撃が…
「戸崎隊長!!」
「住民の避難は俺の部下が仕切る!!」
なんであいつが…僕たちのこと敵対心向けてたのに…
「おい漆子!!今は集中しろ!!!」
「っ解ってるよ…」
『あ”あ”あ”ぁあ!!!そうやって私を傷つける!!!私は悪くないのに!!』
昔からコウは感情を抑える癖があるのは気付いてた…
本当なら感情の全てをぶつけたいのだろう…
自分をこんな風にした誘拐犯に対しても、母親を見捨てた、王陛下に対しても…
「っ、紅一…」
扇を広げ、力いっぱいに振った…
「っ、氷柱の魔!!」
先の尖った無数の氷柱が発現。
だが、次は自身を囲うように黒い渦が浮き出し、攻撃を無力化。
頭部にある黒い炎のようなものが、徐々に小さくなっている…
もう時間がないっ…
「っ貴様!そんな弱者じゃなかっただろう!!」
戸崎は叫び、バチッと電撃と共に地面が割れるほどの強い電撃を放った
覚醒化した戸崎が放った電撃が一番効いたのか、自身を囲う黒い渦が消え、地に着いた
「よし、動きが弱まった!!」
すると、いきなりコウに近づいた人がいた
「王陛下!?」
王陛下は、邪神化したコウを抱きしめて叫んだ
「紅一!!本当にすまない!!本当ならもっと早くに君を見つけるべきだった!!」
『い”っ、やあ”あ”あぁあ”あ”!?!?!』
ジワッと王陛下に黒い痣が浮かび上がった
戸崎は慌てて叫ぶが、下手に触れればコウの刺激になってしまう
「王陛下!?呪詛が!!」
 「本当にすまない!!許してくれとは言わない…だから、」
王陛下は気にせずに叫び続けた
更にギュッと強く抱きしめた
「一緒に、やり直そう!!」
 その声が響いた瞬間、コウに光が灯された…?
同時に呪詛が消え去っていった…
王陛下は力を緩め、コウの顔を見た…
「その言葉…もっと早く聞きた、かった…」
力尽きたコウはそのまま気を失った。
王陛下が慌てて抱きかかえた為に頭を打たずに済んだ
「王陛下…」
「大丈夫だ…息はしてる…早く医療室に…」
「はい!」
王陛下はコウを抱きしめて呟いた
「無事で良かった…」



続く